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地元のおじいさんによるおしゃれ小間物店にて折りたたみ傘を購入しました。
黒いチェックに朱赤のチューリップ。
いつ出来たかわからないような製品ですが、デッドストックなので一応…新品…。
なんである、アイデアル!

ウインドウから見えて、以前から気になっていたのですが昨日、意を決して入店。
なぜ臆していたかというと、このお店は、お客が入るや否やおじいさんが
すごい勢いで商品を勧める売り口上を展開し始めてしまうからです。

ゆえに、生来、弱気な私は「売るぜ!」という口上に「おうよ、買うぜ!」と
応えられる体制を万全に整えておかねば迂闊に入れないのです。

というわけで二ヶ月に及ぶ(長いな)ウインドウからの葛藤を経て、入店。購入。
外から見て気になっていたのが三種あり、色目などについて
(大変狭い店内で)じっくり悩みたかったのですが、
悩んでいる最中も、おじいさんによる「売るぜ」口上は凄まじかったです。



店主「それで、これは傘もね、いいしね、日本製。日本製だしね。
  今はみんな中国やなんかで作っちゃうからね。中国やなんかで。」
  
トキ「へえ〜、そうなんですか〜!うーん、どうしよっかなー。」
  (と、言いながら考える時間を引き延ばす)

店主「今は何でも海外で安く作るから。これは国産。やっぱり国産は丈夫だよ。
   もうないです。もうないですよこういった傘は。いい傘です。
   柄もね。若い人にはいいですよ。柄も。
   すごい、こう。ね、かわいらしいでしょ。(※二回繰り返す)」

トキ「ねー!そうですよね〜。うーん」
  (買うか否か悩んでいるように見せて、本当は色柄を選んでいる)


しかし、私が敢えて長く引き延ばしてしまった口上が思わぬ話を呼んだのです!


店主「その持ち手がね、まあちょっと小ぶりだけどもね。
  でも小ぶりでもね、女性にはいいですよ、女性にはいいです。
  取り替えられますしね、ほら、コレとかコレとか、こういったのもあります」

ダイレクトに子供っぽいデザインのプラスティックの持ち手を
取り変えてくれると言うではありませんか。
おじいさんが足下の引き出しをあけると、
そこにはめくるめく「傘の持ち手」の世界が展開していました。
籐編み、テリア型、かえる型、プラスティック製…
木製に至っては木彫りが施してある古めかしいものまであります。
もう、持ち手天国です。

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歓喜に湧いた私は「へえ〜!すごい〜!」といいながら、
その数々の持ち手を異常な執念で観察。
さんざん悩んで、シンプルなコロリとした木製のものに変えてもらいました。
ストラップも革製でカッコイイ。

うっかりオリジナル傘…
なんとすばらしいことでしょう…。


こういったお店で、店主のおじいさんやおばあさんの「これを買うのか?」という
半ばビックリ顔の視線に負けぬように買い物をするのは、気弱な私には
勇気と根気がいります。しかしそれに打ち勝って変えた時の満足は代え難いです。


この傘は数十年前の新品であって、デッドストックであって、未使用ですので
今年より(自分内で)始まった、「中古でないものを購入し、ちゃんと時代に適応する」というスローガンには引っかかっていません。
ひかっかっていない。
いないと思う。
思いたい…。